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しんと静まり返った部屋。 やっぱり、誰もいない。 少しほっとしながらパンプスを脱いでリビングを目指した。 「誰も来ないって、言ったもんね」 アキさんがそう言ったんだから。 でも、どうしてそう言い切れるんだろう? あたしがアキさんの奥さんだったら、気になって来ちゃうだろう。 荷物だってまだ段ボールのままだし、ご飯のことだって気になると思う。 それだけ信用されてるのか、ほかに理由が──。 「あー、やめやめ。ご飯作ろう!」 考えるのは止めるって決めたはずだ。 ぱちんと自分の頬を叩いてあたしは袖をまくった。
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