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一息ついて時計を見るともう8時を過ぎてる。 前の席を見ても藤堂課長の姿はない。打ち合わせが長引いたので向こうに泊まることにしたんだとか。 勿論、そんなことはあたしに報告はないし、他の営業から教えて貰った情報だ。 「穂積ちゃん、おつかれ」 静かなオフィスに似合わない明るい声で現れたのは緒方課長だ。 そしてあたしの机の上にトンっといちごヨーグルトを置いてくれた。 「あ、ありがとうございます」 「好きでしょ?」 「え?」 「これ。藤堂がそう言ってたよ」 「あっ、は、はい」 一瞬、驚いて変な返事になってしまった。 「で、その藤堂に怒られたら嫌だからそろそろ帰ろう。送るよ」
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