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「真由、起きて」
耳元で彼の声が聞こえて、気怠い身体を起こしたのだけど、窓の外はまだ夜だ。
「明日は接待があるんです」
「……ん」
「朝から会社にもいかなくてはいけませんから、今夜は送ります」
嫌。
そう言いたい。
今までの恋愛だったら間違いなくそう言えたのに。
「……うん」
上司と部下っていう関係のせいだろうか?
それともあたしが大人になったんだろうか?
あたしは彼のいうままに服を着替えて、家まで送ってもらった。
家に帰って寝て、起きたら味気ない日曜日の出来上がりだ。
予定なんて何もなくて、あたしは気怠さに任せてだらだらと過ごした。
その日の夜になってもアキさんからの連絡はない。
でもそうだろうなって思ってた。
接待なのに、その合間にあたしに連絡なんてアキさんはしないだろう。
それで夜が遅くなれば、当然連絡なんてしない。
分かっているのに、あたしは未練がましく何度もスマホを確認してベッドに入った。
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