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「ちゃんとチェックしてるんですか? プレゼン資料で誤字なんてありえません」
資料を取りに自分の席に戻れば、藤堂課長の声が耳に入ってきて、その姿を見てしまう。
「す、すみません!」
あたしの代わりに藤堂課長のアシになったのは、あたしより一つ下の後輩だ。
くるんとカールした髪に、華奢な体はあたしなんかより女の子だ。
課長は、あの子のことも送ったりするのかな……?
なんて女々しいな、あたし。
自分から別れるって言ったのに、まだあたしの胸はじくじくと痛みを訴える。
あれから藤堂課長が挨拶以外であたしに声をかけることはなく、一週間が終わろうとしていた。
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