12

10/25
前へ
/25ページ
次へ
「ちゃんとチェックしてるんですか? プレゼン資料で誤字なんてありえません」 資料を取りに自分の席に戻れば、藤堂課長の声が耳に入ってきて、その姿を見てしまう。 「す、すみません!」 あたしの代わりに藤堂課長のアシになったのは、あたしより一つ下の後輩だ。 くるんとカールした髪に、華奢な体はあたしなんかより女の子だ。 課長は、あの子のことも送ったりするのかな……? なんて女々しいな、あたし。 自分から別れるって言ったのに、まだあたしの胸はじくじくと痛みを訴える。 あれから藤堂課長が挨拶以外であたしに声をかけることはなく、一週間が終わろうとしていた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

486人が本棚に入れています
本棚に追加