12

11/25
前へ
/25ページ
次へ
「お、ちゃんと言われた通り出来てるな。えらいえらい」 褒められて「えへへ」と照れ笑い。 「へぇ、このまとめ方はわかりやすいな」 「本当ですか? これは藤堂課長に教えてもらって――」 課長の名前を口にして、固まるあたしの頭を緒方課長がクシャッと撫でる。 撫で方も藤堂さんとは違って、少し乱暴であたしの髪はちょっとだけ乱れてしまう。 それを「もう」と言いながら直すと、緒方課長はクスリと笑った。 「あー、なんか藤堂の気持ちわかるかも。源氏物語かマイ・フェア・レディだな」 「はい?」 「自分好みの女に育てるってこと」 「別に課長が仕事しやすいようにやってるだけで」 「うん、そういうところが男心をくすぐるんだよねぇ」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

486人が本棚に入れています
本棚に追加