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「えぇ、彼女は会社中に『デートした』と触れまわってるみたいですね。あまりに拗ねるので晩御飯を奢っただけなのですが」
そういう、ことだったんだ。
「真由、こっち向いて」
ダメ、見ちゃダメ。
分かってるのに、あたしはこの声に逆らえない。
あたしの視線がアキさんと絡まると、彼は優しく微笑んだ。
「昨日ね、家に帰るとリビングの明かりがついてて、思わず君の名前を口にしてしまいました」
「え?」
「真由って」
「……」
「勿論、それは私が消し忘れただけだったのですが、真由が来てくれたんじゃないかって……」
止めて、胸がドキドキするの。
勘違いしそうになるから、だから――。
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