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「真由、君がいい」 「な、でも、だって、指輪――」 彼は亡くなった小春さんを愛してる。 そして、彼女を忘れられなくて妹の小雪さんと――。 あたしに見せる彼の左手には、もうあの指輪はなかった。 「指輪は返しました」 「え?」 「小春とは幼馴染で、親の勧めもあって結婚はしました。どこか妹のような存在でしたが、確かに愛していたと思います」 そうでなければ、あの写真のような笑顔にはならないだろう。 こんな告白をなんで今になって聞いて、あたしはまた胸を痛めなければいけなんだろう? 「けれど、私は彼女の病気に気付くことが出来なかった。彼女が隠していたこともありましたが、死に目にも仕事をしていたような男ですから良き夫だったとは言い難いですね」
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