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「隠す……?」
繰り返すあたしにアキさんは小さく頷いた。
「進行性のガンで、入院した時にはもう3週間と言われていたそうです。
彼女はそれを私に言うことなく、病院のベッドで息を引き取りました。
その知らせを出張先で聞いた時は冗談だと思ってしまうほど呆気なく」
足が震えて不安定なあたしを、アキさんの腕が支えてくれる。
「そんな私が、ほかの誰かと幸せになるなんて絶対にダメだと思っていました。君に会うまでは」
「あ、たし……?」
呟くあたしにアキさんは、ふわりと微笑んだ。
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