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「婚約なんてしていません。 東京に帰ったとき、彼女に告白はされましたが、その気はないときっぱり断りました。 けれど、それなら最後に広島を案内してと言われて、翌週は彼女と観光しましたが……。 それであの時君は私に別れを切り出したのですね」 「だって、だって……」 「彼女には小春のことでさんざん糾弾されました。 そのおかげで私は罪を罪と認めることが出来た。 そのことに感謝はしていますが、同じ顔だからと言ってそれだけで彼女と付き合う気にはなりません。 双子でも性格は正反対ですしね」 「そんなの、聞いてな――」 涙はもう枯れるほど流したはずなのに、また零れそうになる。
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