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「真由、おそらく私は小春のことを忘れることは出来ないでしょう。
でも、今は一番に真由を愛しています。
それではいけませんか?」
??ずるい。
こんなのずるい。
「定時のチャイムが鳴ったから、これは仕事中ではありませんから」
アキさんの親指があたしの涙をグイッと拭ってくれる、少しはっきりした視界にアキさんの顔が大きく映って――。
「目を閉じて、真由」
お互いの唇が、そっと触れた。
「ふぇ……、もっと」
「今日だけですよ?」
泣きじゃくるあたしに、アキさんはキスの雨を降らせてくれる。
そのキスは甘くて優しくて、少ししょっぱかった。
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