君と見る花火

20/36
1674人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
「ちょうどスマホいじってたんです」 変な言い訳にアキさんはやっぱり笑ってる。 「もしかしてまだお仕事ですか?」 遅れる時には連絡って言ってたから、そう聞くと「今、家です」と返されてあたしは思わずニンマリしてしまった。 「着替えたらそちらに向かいますから、もう少し待っててください」 「はいっ!」と元気よく答えすぎて、気付けば店内の視線を集めてしまい、あたしは恥ずかしくて身体を丸めた。 それでも、もう少しでアキさんが来るという状況に、自然と頬の筋肉が緩んでしまう。 あ、メイクよれてないかな? と鏡を出して最終チェック。 うん、完璧。 考えてみれば、ふたりでご飯は何度もあるけど、ふたりでお出かけなんて初めてだ。 そんなことを考えてると、鏡の中のあたしがますますニヤけていくのが分かった。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!