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アフメスはこの辺りでは珍しい、彫りの深い顔立ちをしている。
さながら外国人が一人留学している、といった感じだ。
運動能力が高く活発で、好奇心旺盛な性格が年齢より少し幼さを感じさせる。
一方のワセトは、体つきががっちりとしたスポーツマンタイプ。
少年達の中では一番の力自慢で、冷静な物腰が大人びて見える。
「このレスリング大会、優勝したかったんだー!」
アフメスが無邪気に言った。
「だってさあ、優勝賞品がすごいじゃん!父さんと母さんが喜ぶぞー」
アフメスは一人でしゃべり続けた。
「沢山のパンに果物、野菜と豆・・・あと、特別に肉があるらしいよ」
「え?肉なんて、前回は無かったけど・・・」
ワセトが驚いて言った。
「だ・か・ら、今回特別だって!ああ~、どんな味なんだろう。貴族になった気分味わえるかな・・・」
アフメスはうっとりして天を仰いだ。
「・・・あんまり浮かれるなよ。でも親孝行できて良かったな。もう、お前の親父さん高齢だもんなぁ」
ワセトがアフメスを見つめた。
「しかし本当、お前は似てないよな・・・」
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