6 父王の言葉

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「そうだ、アフメス殿の短剣には文字が彫ってあるでしょう?これは、エケンセルラー王とアクティー様、アフメス殿の名前です。女王もこれを見せられては、証拠として認めざるを得なかったのでしょうね」 神官が得意げに言った。 「そうだったのか……神官様、ありがとうございました。でもなぜそこまで私のためにして下さるのです?」 「え……?それは……当然ではありませんか。私は先王にお仕えした神官でございますから……」 アフメスから見て、神官は言い淀んでいるように見えた。 「そうだ!アフメス殿、ムウ神殿に住まわれて、これから勉強してはいかがですか?同年代の神官見習いもいますし、武術を教える教官にも知り合いがおります」 神官が進言した。 「そうね。ムウに帰れば、エリホルスもアフメスを追ってこないでしょう。それからアフメスには教育係を付けましょう。私が手配します」 アクティーの口調は、弾んでいた。
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