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アフメスの両親がテーブルで話をしている。
「・・・今日アフメスは大会で優勝したらしいわよ。さっきワセトから聞いたの」
「そうか・・・いつか優勝すると思っていたよ」
「それで優勝の報告にムウ神殿へ行ったらしいんだけど・・・大丈夫かしらね」
「ムウ神殿へ?・・・あそこは先代の王の、いわく付きの神殿だ。何事も無いといいが・・・」
(何・・・?よく聞こえない・・・)
アフメスは聞き耳を立てた。
「ねえ。そろそろ本当の事を話すべきじゃないかしら。あの子ももう大きくなったし・・・」
「!?お前何を言うんだ!本当の事を話してどうなる・・・王妃さまから言われたのを忘れたのか?これは私たちだけの秘密だと・・・」
(・・・?何を言ってるの?)
アフメスは背中が寒くなるのを感じた。
「それはそうだけど・・・何も知らないままなんて、かわいそうじゃないかしら・・・それにあの子には特別なオーラがある。普通ではないわ」
「王の後継者は王宮に沢山いるじゃないか。あの子は危険な目に遭わないよう、平穏な家庭で育って欲しいと。王妃さまはそう願って、こんな田舎町の私らに預けて下さったのだから・・・」
「ただいまぁ!」
アフメスはわざと大声を上げて家に帰った。
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