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4 母を訪ねて
「母さんに、会ってみたいんだ」
「アフメス……あなたがそう思うのも、無理ないわね。だけど……」
「だけど?ダメなの?」
「うーん、アクティー様からは、口止めされているし……それに、危険だわ」
「危険なの?」
「あなたが王宮に行ったら、カーラー様が何て思うか……」
「ちょっと母さんの顔を見に行くだけだよ。大丈夫だよ!」
アフメスはすっかり行く気になっていて、ワクワクした顔をしている。
「大丈夫かしら……それに、どうやって行くの?ここからは遠いわよ」
「ナイルの船で行けば大丈夫さ。あ、そうだ!ティアリ姉さんが困ったら神殿に来てって言ってたな。神殿で、神官様にお願いして連れて行ってもらおう!」
「調子いいわね……大丈夫かしら……」
母は半ばあきれた顔をしている。
「ま、行動力のあるところは、あなたらしいわ。父さんにもちゃんと話してから行くのよ」
「はーい」
アフメスは明日の出発に備えて、荷物の準備を始めた。
夕刻になり、父が仕事から帰宅する。
「ただいま」
「父さんお帰りなさい。オレ、明日、本当の母さんに会いに行こうと思うんだ!」
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