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20 聖剣と兄弟の心
(時間が無い……!)
ナルディは焦った。
テーベへ向かう船は、卓越風を帆いっぱいに受けてナイルを遡上している。
(それに……ジェフラー王子が素直に来てくれるのだろうか)
ナルディは沢山の不安を抱えながら王宮を目指した。
船を降りてからは、とにかく走った。
このまま最後の審判の時を迎えたら……全てが終わってしまう。
その前に、ジェフラー王子をメンフィスへ連れて行かなければ。
王宮から、見覚えのある少年が出てきた。
ナルディは走りながら慌てて声を掛けた。
「…ワセトさん!待って!!」
「……」
ワセトは気怠そうにナルディを見た。
「ワセトさん!ジェフラー王子を知りませんか?……アフメスを助けるために、協力して下さい!」
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