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23 エジプト王
ジェフラーが乗った船とラメスセレトが乗った船は、それぞれがほぼ同時にテーベの港へ着いた。
朝日が昇り、水面が眩しい程に輝いている。
ジェフラーは清々しい気持ちでそれを眺めた。
至聖所で交わした心…アフメスが助かったという確信があった。
勝利したことにより採掘権も一部認められた。
戦争は避けられるだろう。
胸を張って国へ帰ることにしよう―――
一方のラメスセレトはモヤモヤとした気持ちで、眩しい水面に目を細めた。
北の宰相として、気に掛かることがあった。
しかもリシアのあの言葉……
まさかファラオがヒッタイトと裏で通じている?
そんな事、あるはずがない―――
それから闘技場で行われたという儀式
危険極まりない
これには苦言を呈さなければ
ティアリ
彼女を守るつもりが、苦しめているのではないだろうか
王女と結婚するなど、私には荷が重すぎたのだ
王女と結婚したい人物など山ほど居る
別に私でなくたって―――
グルグルと、結論の出ない諸々の事が頭を巡った。
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