ep.1

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「自己紹介も済んだし、早速仕事の説明しようか。じゃあ野上さん、もう戻っていいよ、ありがと」 ああ、本当に新しくそして厄介そうな日々が始まるんだ。 割とあっさり出て行こうとする編集長の背中を恨めしく見つめ、聞こえぬようため息をつく。 すると編集長は、ドアを開ける寸前でくるっとこちらを向き直り、息を吸い込んだ。 「小見っ、頑張れよ!」 え・・ 「東雲さん、こいつ、若いけど才能あるし、ホントにイイ子ですから!俺が太鼓判押すんだから間違いない、よろしくお願いします!」 うわ、何よ、最後にそういうことすんのやめてよ。 もう会えないわけじゃないし、何よりこんなとこに人を売った憎むべき相手なのに、胸が痛くなる。 馬鹿編集長・・と心の中で呟くと、東雲さんが深く頷き、私の頭の上に手のひらを乗せた。 「ちゃんと面倒見るから安心して」 「頼みます!」 「うん。あ、良い子紹介してくれたお礼に、来月号は未公開分も含めて渡すよ」 「お願いしまあああす!!」 さようなら、野上編集長。 あ、たっくさんお世話になったんだから、せめて階段の手前までは見送ってこようかな。 激励を込めて、思いっきり背中を押してあげたい。
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