ep.1

15/26
前へ
/26ページ
次へ
「大きく分けると、毎月変わるメイン企画と、今次が持ってくる記事、作家さん何人かの小説やコラム。 ここに読者参加型のアンケートやお悩み相談が加わって、完成かな。真野と俺が企画担当で、さっきも言ったけど今次が女優さんのグラビアとかインタビューを持ってくるんだよ」 「ということは、このゲレンデよりあなたの・・」 「あは、俺が考えたタイトル。恥ずかしいから読み上げないで」 こっ、このタイトル、可愛い顔して梶浦さんがつけてたのか・・。 昨日はつき返したそれを、今日は拒絶するわけにいかない。 恐る恐る手に取り、ぱらぱらとめくってみると、綺麗な女性のあられもない姿が飛び込んだ。いきなり攻めてるな。 取り乱したい気持ちを押さえつつ、先に進むうちに特集に差しあたる。 ざっと眺めた感じでは、行為の進め方や喜ばれることなど、女性誌でも取り上げてそうな内容だ。 モデルの男女がモロ出ししてる以外は。 なるほど、記事に沿うようなこの写真も、編集長を筆頭にバイブルと崇める要因かもしれない。 まるで動画をスクショしたように細かく、参考画像には持ってこいな感じ。 外国人モデルを起用してるから、女性が観てもそこまでのえげつなさはないし。見ようによって、むしろ芸術の域かもしれない。 「もしかして、この写真もお2人が?」 「違うよぉ、モデルも含めてちゃんとプロにお願いしてます。そーいう伝手は、東雲がたくさん持ってるからね」 ジャンルはあれと言えど、常に良いものを送り出してる感じがよく伝わる。 話しながら、皆の顔が輝いているから。まあ真野さんはわかりにくいけど、頷いてるからそうだろう。 自分の書く記事に責任と誇りを持っているのもわかった。 割り振りも完璧な様子だし、うん、なんで私ここにいるんだろ。 今で十分受けるネタもわかってるっぽいし、女性読者も満足してるし、別に私がいなくてもいいのでは・・ 「わっかりやすい顔してる」 フッと鼻で笑う声が聞こえたかと思うと、東雲さんが目を細めて私を見ていた。 「まあ、急にこんな変態チックなとこに放り込まれちゃ無理もないよね。今次くん、説明して」 「はーい。・・・きっかけは一通の読者メールだった・・」 この人に聞くのやだなあ。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1014人が本棚に入れています
本棚に追加