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家に向かう途中、森で採取してた他の子たちからものすごい視線を集めました。
大体が夕暮れになるまで採取しているのです。
なのに、今は大体お昼を過ぎた位…その上、身体中泥だらけで、時折ドタっ!と鈍い音を立てる籠を背負って、それを2人で支えているのです。
むしろ注目を浴びない方がおかしいのです。
そのまま森から出て、街の門を潜る頃には汗だくでした。
「 おう!随分派手にやらかしたなー!母ちゃんに怒られるぞー?」
泥だらけの私達の服を見た門番さんが、茶化すように笑います。
それに私達が苦い顔をすると、籠の中でドタっとお魚が跳ねました。
…まだ跳ね回るなんて、凄い生命力ですね…
「 ん?一体何を取ったんだ?」
「 魚!!」
「 …ん?」
普段人見知りなゼノ君も、興奮しているのかハシャギながらそう答えます。
「 魚…?どらどら…」
籠の葉っぱをどけて中を覗き込む門番さん。
「 いっ?!」
その瞬間、驚愕の表情を浮かべます。
それは、この世界で滅多に取れない魚を本当に取ってきた事、予想よりとても大きかった事…それを小さな私達だけで取ったことでしょう。
「 じゃあな!!」
「 失礼いたしますね!」
「 またね!おじさん!」
驚愕の顔のまま引きつっている門番さんを横目に、私達はその場を去りました。
そして、遂に家に着きました!
「 ただいまー!」
興奮気味にザインお兄様が家のドアを開けると、丁度母様とミーンさんがお茶している所でした。
帰って来た私達を見た2人の目が見開かれます…そして…
「 あーもうっ!どうしたらこんなに泥だらけになるの!!ゼノ君まで泥だらけにして!!」
「 お母様、ごめんなさい!でもお魚…」
「 言い訳はいいの!!全くもう…」
「 違うんだおばさん!俺達凄くおっきい魚を取ったんだ!」
「 ゼノ!!あんた初めての森で随分はしゃいだみたいだけど、魚なんてあんなすばしっこいの捕まえられる訳がないじゃないの!しかも、こんな早くに!私だったら夕暮れどころか1晩掛かったってとれやしないよ!つくならもっとマシな嘘をつきなさい!」
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