初めての森

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その後、次々に助言をして遂に三枚に下ろせました! もはや、生き物の面影さえないそれにやっと高ぶっていたお母様も落ち着いたようで普通に料理を始めました。 「 父さーん、もーいい?」 「 おぉ、いいぞ。」 目を塞いでいたザインお兄様とゼノ君が手を退けます。 2人には流石にちょっとショッキングだったかも知れません… 私も捌き方を知っていたとは言え、あの大きさになると少し来るものがありましたもの。 それから、ただの食材の形になったナマズを手際良く料理していくお母様達。 でも、出来上がる頃には少し遅めの時間の夕食となったのは言うまでもありません。 料理がテーブルに並ぶ頃には、さっきまでのドタバタが嘘のようにみんなニコニコしていました。 「 じゃ…色々大変だったけど食べましょ!いただきます!」 『いただきます!』 この世界にも食前の挨拶があるので、それをすると皆さん思い思いの料理にフォークやスプーンを向けます。 「 んん!このフライ凄く美味しい!!柔らかくてジュワッとして…最高!」 フライを食べたザインお兄様が満面の笑みで笑います。 「 スープも美味しいわよ!いいダシが出て、浮いた脂まで美味しいわ!」 ミーンさんも目を見開きながら絶賛します。 「 この塩焼きも…シンプルな味付けなのに噛めば噛むほど脂と旨みが…コレをゼノが取ったのかと思うと…くぅ…」 「 だから、泣くなって父さん!ほ、ほらこっちのフライもすげーうまいぜ!」 そう言ってフライをニックさんのお皿に取り分けるゼノ君。 仲いいなぁ…。 あれ、そう言えばお父様はどうしたんでしょう? やけに静かですね… そう思ってお父様を見ると、目を見開いて硬直していました。 その手はスプーンを口に入れたまま硬直しています。 「 あ、あら?お父様…?」 様子のおかしいお父様に声を掛けると、皆さんも気付いたのかお父様を見ます。 「 グ…グルド?」 隣に座っていたニックさんが声を掛けた瞬間、無表情のままダパーっと涙を流すお父様 えぇぇ?! 「 神よ…ありがとう…」 え? 次の瞬間並んで据わっていた私達に飛び付くお父様。 「 うぉお!俺は幸せ過ぎるぞ!」 「 父さん!ヒゲが!!」 「 痛いですわ!!」
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