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それから昨日のように街道を進み、森に入ると沼に到着致しました。
「 さーて!今日もいっぱい釣りますよー!」
「 ちょっと待て。」
釣竿を掲げて、意気揚々と沼に近付く私にストップがかかります。
「 お前、昨日の事もう忘れたのか?1人で釣って竿ごと沼に落ちたら危ないだろ!」
「 確かに…オリーゼ、悪けど釣竿の素材を僕達が取ってくるまで釣りは辞めておこうね。」
「 …はい。」
なんと言うことでしょう…
確かにその通りですし、グウの音も出ません。
「 では…私、ここら辺でアレブの実をとって待ってますね。」
近くに群生しているアレブの実に視線を移します。
「 おう、絶対釣りはするなよ!」
「 出来るだけ早く戻るからね!」
「 わかりました、お気を付けて行ってらっしゃいませ。」
素材を探しに行ったお2人を見送り、アレブの群生地に近づきます。
……そして、時折振り返るお2人の背中が完全に見えなくなったのを確認すると、ニヤリと笑いました。
うふふ、要は大物を釣らなければいいのでしょう?
私は、そこら辺にいたトゥルナを捕まえて針にセットします。
そして、昨日の深そうな場所ではなく少し浅そうな場所を見つけてキャスティングしました。
ポチャ!と音を立てて狙った場所に仕掛けが落ちると、ユックリ腰を下ろして竿を寝かせました。
後は待つだけです。
……ポチャ!!
来ました!!!
相変わらず早いですね…!
私は沈んだグリンドの実を驚きながら見つつ、立ち上がります。
ミシミシとしなる竿に確かな手応え…!
しかし、昨日のように身体ごと持ってかれるような事はありません。
激しく抵抗するお魚に、前世で見た釣り番組や釣り雑誌の知識を総動員して駆け引きをします。
糸が切れないよう…そして、針が外れないように魚の動きに合わせてフッキングします!
焦ってはいけません…
地道にお魚の体力を奪うのです!
そう思いながら、徐々にお魚を陸地に手繰り寄せる事に成功します。
…そして!
バシャ!ビチビチ!!
水から引っ張り上げる事に見事成功しました!
ブルブルと跳ねる魚の振動が竿を伝います。
そのまま草の上に遠心力を乗せながら投げ出します。
ビチビチと跳ね回るお魚は、昨日のナマズより1回り小さいです。
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