第三話 夢舞台

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再度、お化け屋敷に行ってみる。 やはり40分待ちのようだ。 「待ちましょう。並んで見終わったら、 ちょうど演劇の開場時間になるわ」 と園子は笑った。 一クラスをお化け屋敷に演出したらしい。 黒いカーテンで覆われ、中は見えない。 心霊写真集と称した写真が張り出されていたり、 幽霊のイラストや、 心霊スポットと言われている地図の貼り出しなど、 怖さを煽る演出が工夫されていた。 …キャーーーーーッ… …わーーー!なんだ?… 時折聞こえてくる、 中に入った人達の悲鳴や叫び声もまた、 恐怖を掻き立てる要素になっている。 中には、 泣き出した子供の為列から抜ける親子連れも 少なくなかった。 園子はワクワクしている様子だ。 真壁も至って冷静である。 いよいよ、中に入れる時が来た。 おどろおどろしい効果音と共に、 まずは暗闇の中に浮かぶマネキンの生首、 首無しマネキンが数体出迎える。 そして模造紙と段ボールで作られた井戸から、 髪の長い女性が這い出てくる。 目前のグループはギャーギャー叫んで避けようと あたふたしている。 「ウフフ、可愛いわ」 園子は笑みを浮かべて呟いた。 ろくろ首や一つ目傘などの妖怪を始め、 かなり作り込まれていた。 「面白かったわね!皆よく頑張ったわ」 園子は満足そうに微笑み、真壁を見上げた。 「ええ。よく資料を見て研究されてましたね」 真壁も笑顔で答えた。 間もなく、演劇部の開演時間だ。 二人は体育館へと歩みを早めた。
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