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 ××××年×月×日 「博士、順調ですか?」  問われてトーヤは顔を上げる。  振り返ると、ドームの管理官と白衣を身につけた長身の人物が扉の前に立っていた。 「順調ですよ」  答えると管理官は嬉しそうに歯を見せた。 「さすがは博士。その調子でお願いします」  口調は丁寧だが心がこもっていない、と、トーヤは感じる。  彼がトーヤを博士と呼ぶのもポーズのひとつだ。  本当はただの道具としか思っていないであろうことは容易に想像できる。  なぜならば、トーヤはクローンだからだ。  たったひとつの細胞から無数に造り出すことの出来る生物。  それがトーヤだった。
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