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なんとか廊下に出て、そばにあった長椅子に座り込む。
「はあ・・」
漏れたため息は、出て来れたことへの安心の他に、燻っていた熱情が混じる。
愛実さん、あのあとどんなことされるんだろう。
快感に溺れ乱れる彼女の姿が、勝手に頭の中を流れていく。
同時に、自分の身体の奥も疼くようで、慌てて手を振り上げてかき消した。
別のこと考えなきゃ・・そうだ、ここまでのことをまとめておこう。
タブレットを取り出し、膝の上に置く。撮った写真は後で貼り付けるとして、撮影の流れだ。
まず会社自体が新しく、そして清潔で驚いたこと・・偏見を助長しないようにしっかり記さなきゃ。
なんせAVといったら・・ふと、文字を打つ手を止める。
私が抱いていたイメージと、実際の現場はかなり違っていた。
特にこの会社は、女性目線で運営されているためか、なんというか・・安心感がある。
性に対して興味を持つことに、怖がらなくてもいいと言っているようだ。
作品の内容だって、彼が彼女を慰めるという働く女性の心に響くものだし。
やっぱり、時代は変わっているのか・・
そこまで考えついたところで、わあっとざわめく音が聞こえだした。
撮影が終わったのかもしれない。
さっとタブレットをしまって立ち上がり、そっとドアを開けると、案の定スタッフに囲まれて労いを受ける2人がいた。
うわー、愛実さん、頬も紅潮しててさらに色っぽい。タイチさんも汗ばんで・・
「スッキリしたあ?」
遠目で観察してると、目の前にぬっと今次さんが生えた。
「なんですか。スッキリって」
「興奮しちゃったから、一人でしてきたんじゃないの?」
どういう耳してんだコイツ?
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