epi.4

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てんこ盛りの生姜焼きがみるみるうちに減って行く。 熱い湯気も気にせず頬張っているのは、育ち盛りの学生でも体力をつけたいサラリーマンでもなく、真っ赤なルージュの篠崎さん。 勢いが良すぎてメガネが曇っている。 「やっぱここの定食が一番!小見さんもガンガン食べてよ。あ、コロッケも頼もっかな~」 ここまで食べっぷりが良いと見ていて気持ちが良いものだ。 店員さんも嬉しそうに注文を取りに来て「いつもありがと」と笑っている。 口にしたお肉は確かに美味しくて、つい感嘆の声が漏れた。 「おいしー・・」 「でしょ?奢るからなんでも食べてね。真野まーたレモン避けてる!絞った方が美味しいにきまってんじゃん」 「好みなんだから良いじゃないすか・・」 「・・お2人って、前からのお知り合いなんですか?」 今の言い方だと、何度もここに食べに来てるとも取れる。 寡黙な真野さんと姉御肌な篠崎さんの共通点が気になり、問いかけると2人が顔を見合わせた。 「ホントに何にも?」 「言ってないって。説明は篠さんの方が得意でしょ」 お、踏み込んだ呼び方。 掛け合いも良いし、思ったより深い仲なのかと勘ぐった時、篠崎さんが箸をおいて私を見つめた。 「真野はねえ、私の部下だったの。アンハト創刊まで、この子はずっとうちにいたんだ」 「・・え!?」 予想もしなかった言葉に、今度は私も持っていたお茶碗を置いて、2人を見比べる。 あっけらかんと笑っている篠崎さんと、淡々とお味噌汁を吸う真野さん。 冗談ではなさそうだ。
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