桜の季節

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桜の季節

桜の季節は出会いもあれば別れもある。 突然の事だった。 彼女の死を告げられたのは。 一週間前に些細な事で喧嘩をした。 いつもの事だから、どうせ直ぐ彼女の方が折れて連絡来るだろう。 だから、俺はラインをしなかった。 なのに…彼女は死んだ。 死因は交通事故。 急に道路を出た子供を避けようとして、ハンドルを除けた運転手は曲がり切れず。 危ないと思った彼女は子供を突き飛ばして助かったのは良いが、彼女は子供を庇ったせいで即死。 彼女の葬儀に出た時、他の人達は泣いているのに俺は泣かなかった。 いや。 彼女が死んだ実感が湧かなくて、涙が流せなかった。 …と、言ったほうが正しいな。 帰宅して、直ぐにベッドに寝転んだ。 「会えなくなるなら意地なんて張らずに謝ればよかった。そうしたら、喧嘩したまま離れることなかったのに…。」 いつも、そうだ。 でも、後悔しても彼女は戻ってこない。
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