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「大丈夫よ、これは……夢なんだから」
この台詞を聞くのも、もう何度目だろうか。
それさえすでに分からなくなっていた。それだけ数を重ねていた。
谷間があらわになったキャミソール姿が、それ以外何も身に着けていないと教える。”夢”でしか見ない姉さんの腕と脚は無機質な物なのでは無いかと思う程、綺麗だった。
僕がベッドから起き上がろうとするも、その気配を感じ取ったのか、グイと押し戻される。
「駄目よ、あなたは横になっていないと」
黒い伸びた髪がサラリと、僕の顔に垂れた。
撫でる髪と、風呂上りの甘い体臭が鼻をくすぐった。
つい「すぅ」と息を吸う僕を見て姉さんはクスリと笑う。
そして華奢な指を二本、僕の唇にあてがう。
「声も出しちゃ駄目」
これもいつも通りだ。姉さんのなすがまま、両手を縛られ、タオルを口に詰められる。
「可愛い……その姿とっても素敵よ」
姉さんの切れ長の眼が益々細くなる。
奇妙にアーチした眼で見下ろされると「もしかして姉さんは僕を殺す気なのでは無いか」と思えてくる。そして瞳は狂気を宿し、紅く光ってさえ見えた。
「うぅっ……」
チロリと蛇のように伸びた舌が首筋を這う。
ぬらり、ぬらりと首元を這っていく蛇は顔へと昇り、耳へと到着する。
息は乱れ下腹部が熱くなる。その無様な僕の姿を見て、益々楽しそうに笑った。
「どうしたの? まだ首筋を舐めただけでしょ?」
下着の上からも分かる程起立した下半身を愉快そうに見つめる。細く、白く伸びた指が探るように下着に入り込む。目的の物を見つけた手にキュッと握られ、その冷たさに思わず声を漏らした。。
「もうすっかり熱くなっちゃってるわね」
チロチロと、耳元で蛇が踊る。
荒くなった鼻息を聞いてか、姉さん耳元で囁いた。
「大丈夫よ……これは、夢なんだから」
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