歪な淫夢

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「大丈夫よ……これは、夢なんだから」  最初その台詞聞いた時、僕はすでに縛られていた。  口元のタオルもきつく縛られ、声は全く出せない状況だった。 「大丈夫よ……これは、夢なんだから」  そう言いながら見下ろす姿を見て、それが姉さんだとは思えなかった。    大学のラクロスサークルに所属する姉さんは正に快活スポーツ少女だった。アップにした長い髪を下ろした所も、常に着ているジャージの下に隠れた肌も見た事は無かった。 「お母さぁ~ん! ご飯~!」  帰宅するといつも声をあげなら靴を脱ぎ捨てる。食事中テレビを見ていると、ついしてしまうらしい立て膝を良く母に注意されていた。 ジャージで帰宅し、風呂から上がるとジャージに着替える。寝間着と外出用のジャージを分ける必要があるのか、常々疑問だった。 「ねえ、夢なんて朝起きた時しか覚えていないわ」  髪を下ろし服を着替えるだけで、女性とはこんなにも雰囲気を変えるのか、と僕は何だか見当違いの事を思ったのを覚えている。 「だから今は、今だけの事を考えて」 赤い舌が口から這い出ると、自らの唇を「ツウ」と舐めた。  汗だくで帰宅し、風呂から上がるとすぐに寝てしまう姉さんしか見た事なかった。 僕は知らなかった。姉さんの唇はこんなにも瑞々しい事に。 「可愛い俊……わたしの俊……」
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