歪な淫夢

5/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
 翌朝の姉さんはいつもと何も変わらなかった。あっけらかんとしたその様子に僕は「もしかして本当に夢だったのでは無いか」とすら思った。  だがその晩の強烈な記憶は絶対に夢なんかでは無かった。一体あれは何だったのか、そんな事考える間もなく次の晩も姉さんは部屋に着た。 「大丈夫よ……これは、夢なんだから」  その時僕は縛られていなかった。拒絶しようと思えば拒絶できた。そうだ、僕は拒絶しようとした。冗談でも飛ばし、このヌルリとした空気を壊そう。 そう思うのだが、あの昨晩の記憶が強烈にフラッシュバックする。思い返すだけで、息が乱れるようなあの記憶。喉が「ごくり」と鳴った。 「これは……夢、なんだよね?」  ゆっくりと、姉さんの真意を確認するかのように聞いた。 僕の言葉を聞いた姉さんは嬉しそうに口角をあげた。 「そうよ、これは夢。何も心配しなくていいの」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!