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翌朝の姉さんはいつもと何も変わらなかった。あっけらかんとしたその様子に僕は「もしかして本当に夢だったのでは無いか」とすら思った。
だがその晩の強烈な記憶は絶対に夢なんかでは無かった。一体あれは何だったのか、そんな事考える間もなく次の晩も姉さんは部屋に着た。
「大丈夫よ……これは、夢なんだから」
その時僕は縛られていなかった。拒絶しようと思えば拒絶できた。そうだ、僕は拒絶しようとした。冗談でも飛ばし、このヌルリとした空気を壊そう。
そう思うのだが、あの昨晩の記憶が強烈にフラッシュバックする。思い返すだけで、息が乱れるようなあの記憶。喉が「ごくり」と鳴った。
「これは……夢、なんだよね?」
ゆっくりと、姉さんの真意を確認するかのように聞いた。
僕の言葉を聞いた姉さんは嬉しそうに口角をあげた。
「そうよ、これは夢。何も心配しなくていいの」
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