ある梅雨の日

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貴弘は退屈していた。 今朝から雨がしとしと降っていて、大学に行く気がすっかり失せていた。 彼はただ流れるニュースをぼんやり眺めて時間を過ごしていた。 古いアパートの六畳一間。 部屋は服や雑誌、飲みかけのペットボトルで散乱している。 敷かれたままの布団の上だけがようやく物が置かれてないスペースだ。 「つまんねぇ番組だなぁ。。。」 布団の上で横になったままの貴弘は呟いた。 ふと部屋の端。。。 テレビの置かれてる側の壁に汚れが付いていることに気がついた。 汚れは少し緑色がかっているように見える。 それは黴(かび)のように思えた。
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