駅にて

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下り電車を待つ駅のホームに細身の女子高生がいました。 夕焼けに横顔をオレンジに染めながら、正面を見て、ニヤニヤしています。 仕事終わりのサラリーマンや、汚れたユニフォームの学生達。 皆、スマホに目を伏せる中、その女子高生だけは正面を向いて笑っているので、とても目立ちます。 その正面。 上り電車を待つ駅のホームで少年がママと手を繋いでいました。 その少年は女子高生を見つけ、ママを見上げこう言いました。 「ねぇ、ママ。またあのお姉ちゃん笑ってるよ?」 やって来た電車に遮られ、目の前が見えなくなる。 そういうこと言わないの、とママに叱られ、少年は、ごめんなさい、と電車に乗りました。 次の日もその女子高生は笑っていました。 その次の日も、またその次の日も。 少年は毎日、それを見ながら心の中で思いました。 ーー変な人。 ーEND-
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