1351人が本棚に入れています
本棚に追加
「では、僕のお願いは何にしようかな?」
すんなりと割って入ったのは三兄の真月兄さま。
雪兄さまをひとまわり小さく、幼くしたような、可愛らしい容貌と、無邪気で奔放な気質は、万人に愛される武器となる。
その実態は、かなりの天の邪鬼で腹黒、いわゆる小悪魔なのだが、嫌われないギリギリのラインを攻めているあたり、相当な策士でもある。
利害が一致すれば心強い味方にもなるので、敵対しない限りは自由にさせておくのがいい。
「月兄さまのお願いでしたら、いつでも承りますわ」
どんなことでも、と明言しないでおくのが肝だ。言質をとられると面倒この上ない相手なのは、長年の付き合いで学習済みである。
「じゃあ、とっておきのお願い、考えておくね!」
妹にウィンクするな、バカ兄。
基本的にこの三人は、頭に超弩級がつくほどの妹バカなのだ。胸焼けしそうなこってりのクリームよりも甘く甘く、溺れそうなほどに私を甘やかす。
そして、なるべく自然に見えるように、
最後に残った兄に視線を送った。
「おはようございます、愛兄さま」
最初のコメントを投稿しよう!