憂鬱な朝食

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「愛にも異存はないね?」 雪兄さまが話を振っても、愛兄さまは応えない。すっと春兄さまを一瞥して、また沈黙を続ける。 それだけで否ではないことを感じ取れるのは、血を分けた兄弟だからだろう。長年の経験と勘で、愛兄さまの言わんとしていることを推し量れるのは、ここにいる我々と門倉くらいのものだ。両親にさえ困難なのだから。 「皆すまない。認めてくれて、ありがとう」 肩の荷が下りた、といわんばかりに身体中を弛緩させて、溶けたチョコレートのように椅子にへばりついている春兄さまは、いつもより幼く見えた。 重責と足枷から解き放たれて、心底安心している様子を見ると、素直にお疲れ様と言いたくなるほどだった。 「さあ、そういうわけだから、春は一抜けだ。今後は僕の補佐という形で仕事をしてもらう。皆の賛成も得られた今、春の庇護者は僕となる」 野心に燃えるような様は一切見せない雪兄さまだが、たった一言でその場の空気を作り変え、いつの間にか中心へたどり着き、君臨していく場面を幾度となく見せられている。 春兄さまのサポートを得たならば、より一層後継者争いからは抜きん出た形になるだろう。
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