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『…僕は見てるから。アンタが幸せにやってるかどうか、ちゃんと見張ってる。
消えないで、ココにいるから』
そう、コンコンとボクの胸をノックした。
うん、解ってる。ちゃんと、此処にいるって解ってる。
ボクたちは何も失ったりしない。
『だからさ、だから…』
「愛してるよ、泉」
『っ、バッカじゃないの?!はぁ?!』
「愛してる」
『----ぅぅぅ』
ちゅっ。
頬にキスをする。してみた。してやったり。
『…忘れないでよ』
「忘れない。絶対。死ぬまで絶対」
『…幸せになんないと許さない』
「解ってます。それも約束する、っていうか最大限努力します」
『…ヤツのコトも…た、頼んだ』
「うん、いつか密兄さまが幸せになれるように、出来る限りのことしてみる。解って貰えるまで何度でも説明する」
ここだけは疎かにしちゃいけない。
不実なことをしたのだから、誠実に贖罪をしなければいけない。一生をかけてでも。
密兄さまから泉を取り上げた罪は、消えないのだから。
『…なら、返してあげる。僕も、前よりは、アンタのこと
ーーー嫌いじゃないよ』
そう云って、ちょっぴり笑いながら口唇に軽いキスをおとして、
瞬きしている間に、もうひとりのボクは
この腕の中から
消えた。
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