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毎朝同じように苦い何かを飲み込んで、戦闘態勢に入る。
ここを一歩出たら、僕は僕じゃなくなる。
周囲の望むような、完璧に美しい少女になる。
あの人の望む、『彼女』になりきる。
それが、僕の生命がここにあることを許された唯一の理由なのだから。
本当の僕を知っているのは、世界で
僕自身しかいない。
時々、本当の僕なんていなくて、
僕の方が偽りの存在じゃないかと、
怖くなる時がある。
現実にはとっくに僕なんていなくて、
『私』の方こそが本物なんじゃないのかと、信じてしまいそうになる。
誰も僕を呼ばない。
僕を必要としていない。
必要なのは、いつだって『彼女』だけ。
愛され、求められ、惜しまれるのは
いつだって『彼女』なのだから。
もうどこにもいない『彼女』の姿を追い求めて、追い続けて、僕を追い詰めた、あの人。あの人の瞳に映るのは、僕じゃない。
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