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「発情期が
ーーー進化してる?」
勢いを増すどころではない、全く別の次元へと導かれるように、快楽に存在が拓かれるほどの暴力的な衝動だった。抗おうという考えすら浮かばない。本能に全身が支配されていて、ただひとつ明確だったのは、はるか高みに昇りつめそうな気持ちのよさ。
そしてーーー
αと繋がりたい という 強烈な欲求。
その瞬間、
自分がどうしようもなくΩであることを全身全霊で理解した。
受け入れざるを得なかった。
「お前は何ともないのか?」
不思議な生き物でも見るように、春兄さまが愛兄さまに訊ねる。
形式上、私に膝枕をしてくれている愛兄さまは最も私と身体的接触面が多い。にもかかわらず、涼しい顔で私の髪を優しく櫛けずっている。あくまでもポーカーフェイスは崩さずに。
愛兄さまはいつもそうだ。とても優しく触れてくるのに、心はとても遠いところにある。
その心が求めているものは、もうこの世界の何処にも存在しないものだから。
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