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この高校には講堂がある。そこで演劇部が練習しているという。
演劇にはまったく興味はなかったが、僕はとりあえずすべての文科系クラブを見学するという自身の決めにしたがって講堂に向かった。
講堂に近づくと、複数の人間の足の踏む音、歌声が聞こえてきた。まだ、その光景が目に入っていないにもかかわらず、その熱感が僕の胸あたりにグッグッと迫ってくる。
講堂の扉を開けると壇上で踊っている数人の男女が目に飛び込んできた。
僕は演劇というものはテレビでも見たことがない。だから技術的な評価は何もできないが、その舞台から発散されるエネルギーに圧倒された。
そして、何よりも驚かされたのは木崎さんがそこにいたことだった。
大人しいという木崎さんの第一印象はガラガラと崩れ、あっと言う間に消えてしまった。
そして、僕の心は今まで以上に彼女に惹きつけられてしまった。
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