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「どうだい柚木くん、なかなかのもんだろう?」 不意に声をかけて来たのは小池くんだった。 「小池くんも演劇部なの?」 「も?」 小池くんはそう言って、舞台を見た。 「ああ、木崎くんか。知ってるの?」 「いや、教室で見かけた人だなって、それだけ」 僕はあわててそう言った。 「柚木くんは演劇に興味があるのかい?」 「あ、いや、そうじゃないんだけど…」 僕はそこまで言うとまた舞台に釘付けになった。木崎さんと一人の男子がデュエットしていたのだ。 「今は新入生のためのクラブ紹介の練習をしているんだ。去年の文化祭のダイジェスト版なんだけどね」 小池くんの説明は耳を通り過ぎていく。僕には木崎さんの歌声しか聞こえなかった。
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