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「リオちゃん。もう一度聞くわね」
真剣な顔つきで、ナルミの母親はリオに言った。
消毒液の匂いが立ち込める薄暗い病室、清潔なベッドの上で、リオは項垂れていた。
「昨日の夜中、ナルミと栗須湖(くりすこ)に行って……そこで何があったの? 何故ナルミは帰ってこないの?」
ベッドテーブルに置かれたスマホを、リオはじっと凝視した。目の下に濃い隈が浮き、げっそりと痩せこけ、たった一晩でリオの面相は様変わりしてしまった。
「お願い、教えて。ナルミはどうしたの?」
ナルミの母親が再度尋ねる。青紫色の荒れた唇を、リオはゆっくり開いた。
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