13人が本棚に入れています
本棚に追加
昨夜、リオとナルミはネットの怪談サイトで、栗須湖にまつわる恐ろしい噂を知った。
――十三日の金曜日に栗須湖に行くと、湖の底に眠る〈怪物〉が現れ、殺戮の限りを尽くす――
眉唾でしょ、とリオは鼻白んだ。だがナルミは「行ってみよう」と提案した。動機は実にくだらないものだった。
「最近さぁ『イイネ』の数、減っちゃったんだよね。ここらでちょっと盛り返したいんだぁ」
ナルミはSNSにハマっていた。重度の中毒者だった。『イイネ』の数が彼女の人としてのステイタスであり生き甲斐だった。
夏休みが長い大学生の行動力で、深夜、リオとナルミは車を走らせて栗須湖に向かった。
リゾート地だった栗須湖は、今は廃墟同然だった。鬱蒼とした森に囲まれ、不法投棄されたゴミだらけの荒れ果てた湖――いかにも不気味だった。
「うわー雰囲気ありすぎ。一枚撮ってアップしよっと……スゴイ、一瞬で十個もイイネきたよ!」
ナルミの弾んだ声に返事しようとした、時。
最初のコメントを投稿しよう!