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女はスタスタと歩いていく。俺は並んで歩く。歩く速さが速い。この歩く速さもこいつが世の中を拒絶してる証拠だ。どこかの教室から下手くそなバンドの『前前前世』カバーが聴こえてくる。この下手くそが!
「教室から聴こえてくるバンドの音を聴きながらこの下手くそが!とか思ってそうな顔をしているな。君は」
そう言って女は半笑いを浮かべてくる。くそが!
「山田花子」
俺がこう答えると間髪入れずに返答してくる。
「ブッブー。外れだ。それは私が君にすすめた漫画家の名前だろう。面白くない」
「うるせーわ!面白くなくて結構だわ!飛来玲だろうが!そんなどうでもいいてめえの名前をいちいち発音させんなよ!その苗字同様、どっか飛んでけよ!」
「やっと正解したな、向井修造よ」
「ああそうだよ!俺の名前は向井修造だ!修造チャレンジとか言われ続けるこの苦悩が分かるかクソが!俺は静かな人間なんだ。熱く生きたくねーんだ、クソが!」
このクソしょうもねえ小説の序盤にありそうな名前の説明!むかっ腹がたってくる、自分の名前を言うだけでよ!
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