プロローグ

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この世界は正六角形で出来ている。 この世界に名前は無い。強いて言うならば、”世界”こそが名前である。勿論、世界の中には名前の付いた国や街や村等が至る所に点在している。 そしてこの国は主に四つの国に分かれている。この四つの国はある境界線で分かれており、明確に簡潔に、平等に統一されている。 ここで一つ、この正六角形の左右の頂点から交差するように線を引く。すると丁度四つのひし形が均等に存在しているのが分かるだろうか。 これら東西南北に位置されたひし形の世界が一つの国であり、それらの名前は順に、イースト、ウェスト、サウス、ノースである。 これがこの世界の縮図だ。 そして、この世界はある三つの時代を乗り越えて成り立った世界だと言われている。 一つは創世期。 これはこの世界そのものが造られた時代だ。一応、この世界は神が創ったもの__七日間なのかは定かではない__とされている。ここで人間や魔物、植物や水、空気__そして魔法が生み出された。 二つ目は戦乱期。 これはなまじ頭脳を持った人間が、欲求に突き動かされて互いに争い合う時代だ。領地を広げたい、美味いものが食べたい、自由に生きたい。そういう欲求の為だけに人を欺き、殺し、奪い取る。 謂わば簡単に戦争が起きていた時代だった。 そして最後に停滞期。 これは戦乱期を乗り越えて生き残った人間達が再び考え、ある条約と共にある程度の欲求を満たしても良い__いわゆる譲歩という考えの下、戦争は終戦していく。 そしてこの時、魔物の討伐作戦も決行され、魔物はこの世界から排除された。
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