354人が本棚に入れています
本棚に追加
逆らえない――
「なんてだらしない表情で僕を見てるの?」
「……あっ、ぁん」
「ふふ、気持ちイイ?」
「……気持ちぃ、尚くん……好き」
「僕も梨世ちゃんが大好きだよ、ほら、もっと腰浮かしてくれなきゃ指が入んないでしょ?」
「やだっ、あっ……」
「やだって言う割りには言うこと聞いちゃうんだね……可愛いね」
およそそんな言葉に全く似つかわしくない乱暴な彼の指が加速すると同時に、彼は更に私の首筋に噛みついてくる。
「痛いっ、やめて……」
「僕の梨世ちゃんを僕がどうしようと勝手でしょ?」
「!?」
「キミはもう僕の腕の中に堕ちてるんだから」
「あ……」
「今更、無駄な抵抗はしなくていいんだよ?」
「んっ、ん……」
一体、どこまで堕ちれば……彼に届くの?
悦ばせたい想いは一緒なはずなのに、彼の歪んだ性癖にいつも、いっつも。
――狂わせられてしまう。
でも。
それが、好きなの。
大好きなの、尚くん。
あなたの愛に狂った私は、またひとつ歳を重ねても変わらないの。
あなたに骨の髄まで愛してもらいたいの。
「梨世ちゃん、お誕生日……おめでとう」
「……ぁぁあっ」
指を引き抜いたと同時に刺さってきたのは彼自身。
片手はいまだに髪を引っ張って、離さないよ。
私の、泣いて、泣きわめいて悦ぶ顔を見て。
彼は悦び、私を苛めて、必要以上に嬲(なぶ)る。
だけど、今日は誕生日の幸せと合わさって。
それさえも全部愛しいと感じた――
最初のコメントを投稿しよう!