4 僕と知らない人

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「……ん、充電出来た」 「えへへ、良かった。本当に無理だけはしないでね」 私はもう『休んで』とは彼に言わない。 休めないのを知っているから。 社長の妻であること、少しは板についてきたかな。 私が強くいれば、彼も安心してくれるだろうから。 「梨世ちゃーん、どこにいるのー? 早くー!」 「はーい! 今行きます!……じゃあ、尚くんまたね」 「うん、また帰りね」 それからすぐに始まったヘアアレンジの撮影はトントン拍子で進んで、早く終わることが出来た。 髪を巻くのも伸びてきたからやり易いし、楽しく出来て良かったな。 「ありがとうございました!!」 「こちらこそ、ありがとうございました。それでは、木暮社長と打ち合わせさせていただいて、また出来上がり次第、仮入稿のデータをお送りしますね」 「はい!」 ――バタン ふぅ。疲れたなぁ。 今日のお仕事は私はこれで終わりだから、尚くんが終わるまで自席でブログのチェックでもしてようかな。 「――あ、梨世」 「絆くん、今日はこっち来てたんだね」 「うん、さっき来た。売上と予定だけ、確認したくて」 久しぶりだな、絆くんとふたり。 彼は彼の席でパソコンを開くなり、いろいろとチェックしたりしてる。 「甘いコーヒー、淹れようか?」 「おう、さんきゅー」 絆くんの席までコーヒーを持っていくと、それを一口飲んだ彼は満足そうに微笑んでから私に向き直った。 「梨世、木暮禅の件で話がある」 「えっ……」 それは私が……ひとりで聞いちゃまずい、話。
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