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「……私に話?」
「あぁ、ちょっと……尚に直接言っていいか悩んでる」
「どういうこと? 蘭華さんは知ってる?」
「星田さんにもまだ言えてない」
「じゃあ私は尚くんに内緒にする話は聞けないよ」
「!」
絆くんは、きっと何か重要なことを言おうとしてるけど私だけが聞くことはあってはならない。
だけど、ここでの判断は間違っちゃダメだ。
どうする? 私、どうしたらいいの?
「今、俺だけが知ってる状態なんだよ……」
「……絆くん」
そこまで……絆くんがつらくなるくらいの話って何?
ずっと溜め込んでいたの?
「じゃあさ――」
――ガタン
「……りぃちゃんに、絆……」
「尚くん!?」
そこに突然尚くんがふらふらの状態で仕事を終えて、私と絆くんがいる場所まで戻ってきた。
熱が……さっきより上がってそう。
私は彼の身体を抱きとめるけど、全体重をかけてきたから重くてふらついてしまって、絆くんがすかさず一緒に支えてくれた。
「僕、ちょっと……つらい」
「尚、大丈夫か?」
「……おうち帰れる? 会社泊まってく?」
「ん……」
「……そしたら泊まろっか、私も一緒にいるから」
「……ん」
「尚、俺終わってない仕事あったら手伝うけど……」
「……ない」
「そっ、か。無理すんなよな、身体弱そうなんだから」
「……おやすみなさい」
尚くんは、ソファで寝てしまった。
私と絆くんは、話をするどころじゃなくなってそのまま流れてしまった。
そのことが、後々良かったと思いたいな。
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