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「りぃちゃん」
「!?」
尚くんが私を新しい呼び方で呼んできた。
でも彼に呼ばれるなら、何でもいいよ。
「……りぃちゃん?」
「梨世ちゃん、梨世、りぃちゃん、りー」
「???」
「どれが好き?」
「どれも……好き」
「ふふ」
結局、尚くんが悩みに悩んでパンは2斤になった。
まためり込むぐらいくっつきながら歩いてマンションに戻る私たちを見て、道行く人はきっといろいろと噂をしているんだろうけど。
何も気にしないよ。
――「さて! 私はご飯を準備するから」
「僕は後ろからぎゅーってしてる」
「それは危ないからダメで、テーブルとかを綺麗にしててくれるかな? ね、尚くん」
「はーい!」
うん、彼はたまに単純だから助かるの。
これがあんだけの会社と世間を動かしている社長だと思うと、やっぱり不思議な感じ。
「ふふふーん♪」
「りぃちゃんご機嫌」
野菜と豆を美味しいドレッシングで和えた特製サラダとタンドリーチキンに、スープ。
その他にもちっちゃいオードブルを用意して、尚くんには真っ白シチューとポテトサラダね。
「……妬ける」
「尚くん……どしたの?」
「絆のために、こんなに美味しそうなの作って」
「!」
やばい、最近の尚くんは病まない代わりにジェラシーの塊みたいな人だったのを忘れてた。
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