8 彼らの場合

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――――…… ――…… 「尚、梨世、話がある」 「どうしたの? 絆くん」 「絆、猫を飼う場合はマンチカンとアメショどっちがいいかな、ふふ」 「……話を聞いてくれよ」 「ん、ごめん」 仕事の休憩中、尚は猫の写真集を眺めている。 飼うんかな?こいつら世話する暇あるのかよ。 「俺……海外に進出しようと思う」 「うん、いいんじゃない?」 「へ?」 「うん、私もいいと思う!!」 「えっ」 なんで、こんなに簡単に受け入れてくれるんだ? ジュピプロをしばらく離れるかもしれないのに。 「……なんで、お前らそんなフツーなんだよ」 「なんで、って……絆なら何も心配してないし、むしろもっと世界中に広まって欲しいと思ってたからいずれはそうなるんだろうなぁって」 「絆くん、昔から言ってたもんね、世界で有名になりたいって。だから応援以外ないよ?」 「尚、梨世……」 無謀かも知れないって、正直思ったこともあった。 だけど、映美とこのふたりに後押しされたら俺は無敵になれる気がする。 「ありがとう、俺、頑張ってみる」 少しだけ鼻の奥がツンとした気がしたから、恥ずかしくて笑顔を作る。そこにあるのは、猫を飼う気満々のふたりがずっとあーだこーだ言ってる微笑ましい姿。 「僕は猫の名前は『めたもる』がいい!」 「えっ、私は『ももちゃん』がいい」 「じゃあ間を取って『めたもも』にしよう」 「……めた、もも……?」 さて、気分がいいから早く仕事終わらせて、こないだ尚に奢ってもらった分、お返しでもするか。
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