9 一歩ずつ

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――「もふもふ……ふわふわ」 「かっ、かわいい!!」  とある日の昼下がり、僕と梨世ちゃんはペットショップを訪れていた。 周りのお客さんたちは僕たちを見て尚サマと梨世ちゃんがいる!と大騒ぎだけど、軽く会釈したりしてすぐに視線を戻し、真っ白でもふもふのマンチカンと、グレーのふわふわなアメショの産まれたての赤ちゃんを見比べる。 「梨世ちゃん……」 「尚くん……」 「選べないね……」 「うん、選べない……」 「2匹飼えるかな……」 「私も考えてた……」 忙しい僕らにはたして猫ちゃんが飼えるのか疑問だったけど、産休中に梨世ちゃんが寂しくないようにってことも飼いたい理由のひとつ。 僕だけが仕事に行く日が多くなるから、僕は心配し過ぎて梨世ちゃんママに土下座して頼み込んだ。 ――(わ、木暮さん、頭を上げてください!) ――(お願いしますお義母さま、梨世ちゃんが心配過ぎて……僕が居ない間、片時も離れず一緒に居てあげてください……) ――(うふふ、梨世ちゃんは相当愛されているのね、いつもありがとうございます。片時も離れないのは無理かも知れないけど、いつも目の届く範囲に居させますね) ――(ありがとうございます!) 「梨世ちゃんママ猫大丈夫?」 「うん、ママ猫好きだよ」 「梨世ちゃんのママ、梨世ちゃんの産休中、僕が仕事で居ない間うちに来てもらうことになったから」 「……えっ?」 聞いてない、って顔してる。 ふふ、当たり前でしょ。 「……また私の知らないとこでママになんか言ったでしょ」 「ふふ」 そう、僕の独占欲は梨世ちゃんが思ってる何倍もだからね。
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