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「ももちゃん……いい子だからちょーっと、めたもるちゃんとそっちで待ってて……ね?」
まずい、不覚にも私は尚くんのスイッチを入れてしまったみたいで、彼の瞳が爛々と私を見据えている。
今にも食べられてしまいそうな悪魔の笑顔に魅せられて、結局、自分から降伏してしまうの。
どうしてあなたは――
「――ごめんなさいっ……」
「わかればいいの、あぁ、梨世ちゃんて何でこんなに苛め甲斐があるの?」
――こんなにも、私の好きを増やしにくるんだろう。
「……っぐすっ、やだぁ……」
「嫌なの? 嫌なら挿れてあげないよ?」
「……それは……もっと、や、だ……」
「ふふ、イイ顔」
こうしてまた私は彼のいいなりで。
無言の主従関係が出来上がる。
――――……
――……
「……休みが、潰れた」
「ふふ、いいじゃない、たまには」
「よくないよぉ! 家事がたくさん残ってる……」
「じゃあ僕がやるから、梨世ちゃんは猫と戯れてて?」
「それはっ、悪いよ」
「いいからいいから♪」
僕の梨世ちゃんは、僕に苛められるといつも僕の耳を蕩けさせる声でよく哭く。
涙をぼろぼろ流しながら、その声で僕の腰と脳ミソを砕けさせて欲望を掻き立てに来るから可愛すぎて困る。
「そういえば、こないだの禅さんとの話ってなんだったの?」
「あぁ、それはね――」
僕が、初めて彼を『兄さん』と呼んだ次の日、彼は15時にまた来訪した。
その時の話は……きっと、未来を変えてしまうような、壮大な話。
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